肝疾患専門診療について

当院では、日本肝臓学会専門医として肝疾患の専門診療を行っております。脂肪肝、ウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、肝硬変など、さまざまな肝臓疾患に対して適切な診断と治療を提供いたします。

肝疾患は症状が現れにくく、気づかないうちに進行することが多い疾患です。早期発見・早期治療により、重篤な合併症を予防できますので、お気軽にご相談ください。

🏥こんな方はご相談ください

  • 健康診断で肝機能異常を指摘された方
  • 家族に肝疾患の方がいらっしゃる方
  • お酒をよく飲まれる方
  • 体重増加や肥満が気になる方
  • 疲れやすさや体調不良が続く方

C型肝炎

C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)による肝臓の炎症です。日本では90-130万人の感染者がいるとされていますが、約7割の方が感染に気づいていないとされています。慢性化しやすく、肝硬変や肝がんの原因となる重要な疾患です。

🦠C型肝炎の特徴

1989年に発見されたウイルスで、血液を介して感染します。感染後約70%の方が慢性化し、C型慢性肝炎を発症します。現在では治療技術が大幅に進歩し、内服薬のみで90%以上の方が完治可能となっています。

🩺感染経路

  • 過去の医療行為: 1992年以前の輸血や血液製剤
  • 現在問題となる経路: 不衛生なピアシングや入れ墨
  • 注意: 性交渉や母子感染はまれで、日常生活での感染リスクは低い

💊治療法

DAA(直接作用型抗ウイルス薬)治療により、以下の優れた成果が期待できます:

  • 高い治癒率: 90%以上でウイルス完全排除
  • 内服のみ: 注射は不要
  • 短期間: 8-12週間の治療
  • 副作用少: 従来治療に比べ大幅に軽減

B型肝炎

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)による肝臓の炎症です。感染経路や病態がC型肝炎とは異なり、急性肝炎から慢性肝炎まで様々な病態を示します。適切な治療により病気の進行を抑制できます。

🔄感染経路

  • 垂直感染(母子感染): 最も多い感染経路。現在はワクチン接種により予防可能
  • 水平感染: 血液・体液を介した感染。性交渉、血液製剤、医療器具等による感染

⚕️病態と治療

  • 急性B型肝炎: 成人期の感染では多くが急性肝炎となり、90%以上が自然治癒
  • 慢性B型肝炎: 主に母子感染による場合に慢性化。核酸アナログ製剤による治療でウイルス増殖を抑制

脂肪肝・非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

脂肪肝は、肝臓に過剰な脂肪が蓄積した状態です。生活習慣病の一つとして位置づけられ、近年急激に増加しています。人間ドック受検者の20-30%に脂肪肝が認められるとされています。

📊脂肪肝の分類

  • アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD): 過度の飲酒が原因
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD): アルコール摂取量が少ない方の脂肪肝

🎯主な原因

  • 過食・高カロリー摂取
  • 運動不足・座りがちな生活
  • 肥満・内臓脂肪蓄積
  • 2型糖尿病、脂質異常症、高血圧

🏃治療・生活習慣改善

  • 食事療法: 適正カロリー摂取、糖質制限
  • 運動療法: 有酸素運動週150分以上
  • 体重管理: 3-6ヶ月で体重の5-10%減量
  • 薬物療法: 必要に応じてビタミンE製剤、UDCA等

その他の肝疾患

🍺アルコール性肝疾患

長期間の過度の飲酒により引き起こされる肝疾患です。男性で日本酒換算3合以上/日、女性で2合以上/日の常習飲酒が危険とされています。

治療: 断酒・節酒が最も重要。栄養療法、肝庇護療法を併用します。

🔴肝硬変

慢性的な肝障害により肝臓が線維化し、硬くなった状態です。肝機能が著しく低下し、様々な合併症を引き起こします。

主な合併症: 肝がん、食道・胃静脈瘤、腹水・浮腫、肝性脳症
管理: 定期的なフォローアップと合併症の予防・治療が重要