ピロリ菌とは

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に感染する細菌です。この細菌は胃酸という強い酸の中でも生存できる特殊な細菌で、感染すると慢性的な胃炎を引き起こします。

日本人の感染率は年齢とともに高くなり、50歳以上では約70%の方が感染しているとされています。特に戦後の衛生状態が悪かった時代に生まれた方に感染率が高い傾向があります。

ピロリ菌と胃の様子

ピロリ菌感染の影響

  • 慢性胃炎の原因
  • 胃・十二指腸潰瘍の主要因
  • 胃がんのリスク要因
  • 胃MALTリンパ腫の原因
  • 機能性ディスペプシアとの関連

ピロリ菌検査方法

内視鏡検査(推奨)

迅速ウレアーゼ試験

内視鏡で採取した胃粘膜の組織を用いて、ピロリ菌が産生するウレアーゼ酵素の活性を検出します。結果が早くわかり、確実性の高い検査です。

組織学的検査

採取した胃粘膜を顕微鏡で観察し、ピロリ菌の存在を直接確認します。胃炎の程度も同時に評価できます。

非侵襲的検査

尿素呼気試験

特殊な尿素を服用し、呼気中の二酸化炭素を測定してピロリ菌の存在を調べます。精度が高く、除菌後の判定に適しています。

血液検査・便中抗原検査

血液中の抗体や便中の抗原を検出する検査です。簡便で患者様への負担が少ない検査法です。

ピロリ菌除菌治療

一次除菌療法

処方薬剤

  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)
  • アモキシシリン(抗生物質)
  • クラリスロマイシン(抗生物質)

服用期間:7日間(1日2回)
成功率:約80-90%

二次除菌療法

処方薬剤(一次除菌失敗時)

  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)
  • アモキシシリン(抗生物質)
  • メトロニダゾール(抗菌薬)

服用期間:7日間(1日2回)
成功率:約90-95%

⚠️ 除菌治療の注意点

  • 処方された薬は必ず7日間完全に服用してください
  • 喫煙は薬剤の効果を減弱させますので、治療中はなるべくおひかえください。
  • 副作用(下痢、軟便、味覚異常など)が現れることがあります
  • 除菌判定は治療終了から4週間以上経過後に行います

📊当院でのピロリ菌検査数と除菌治療数

当院でのピロリ菌検査と除菌治療の詳細な実績をご覧いただけます。

詳しい実績を見る

ピロリ菌除菌のメリット

胃がんリスクの軽減

ピロリ菌感染は胃がん発生の重要な危険因子です。除菌により胃がんのリスクを大幅に軽減できます。

潰瘍の予防・治癒

胃・十二指腸潰瘍の再発を効果的に予防し、既存の潰瘍の治癒を促進します。

慢性胃炎の改善

ピロリ菌が原因の慢性胃炎が改善され、胃の機能が正常に近づきます。

家族への感染防止

家族間での感染リスクを軽減し、次世代への感染拡大を防止できます。

検査・治療の流れ

1

初診・問診

症状や既往歴、家族歴を詳しくお聞きします。必要に応じて血液検査を行います。

2

内視鏡検査

胃カメラ検査でピロリ菌感染の有無を調べ、胃の状態を詳しく観察します。

3

除菌治療

ピロリ菌が確認された場合、適切な除菌薬を7日間処方します。

4

除菌判定

治療終了から4週以降(通常2カ月後)に尿素呼気試験または便抗原で除菌成功を確認します。

5

経過観察

除菌後も定期的な内視鏡検査で胃の状態を監視し、早期発見に努めます。

よくある質問

Q. 除菌治療の副作用はありますか?

A. 軟便、下痢、味覚異常などが起こることがありますが、多くは軽微で治療終了とともに改善します。

Q. 除菌後の再感染はありますか?

A. 成人での再感染率は年間0.2%程度と非常に低く、一度除菌に成功すればほぼ再感染の心配はありません。

Q. 除菌後終わった後はどうすればよいですか

A. ピロリ菌が消えても、胃がんのリスクはゼロではありませんので、1年に1度の胃カメラ検査をお勧めいたします。

Q. 保険は適用されますか?

A. 内視鏡検査でピロリ菌感染胃炎と診断された場合、検査・除菌治療ともに保険適用となります。