メタボリック症候群とは

メタボリック症候群とは、お腹がポッコリ出た内臓脂肪型肥満の方に、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの複数の生活習慣病が重なった状態のことをいいます。

このような方では動脈硬化が進行し、高率に心筋梗塞や脳卒中が発症することがわかっており、早めの対策が必要となります。現在、日本では成人男性の約2人に1人、女性の約5人に1人がメタボリック症候群かその予備群と推定されています。

⚠️メタボリック症候群の特徴

  • 内臓脂肪の蓄積が基盤
  • 複数の生活習慣病が重複
  • 動脈硬化の進行が促進
  • 心血管疾患のリスクが高い
  • 生活習慣の改善で予防可能

診断基準

メタボリック症候群の診断には、内臓脂肪の蓄積(腹囲の測定)が必須条件となり、さらに以下の3つの項目のうち2つ以上に該当する場合に診断されます。

📏必須項目(内臓脂肪の蓄積)

腹囲:男性85cm以上、女性90cm以上

💓高血圧

最大血圧130mmHg以上
または
最小血圧85mmHg以上

🍭高血糖

空腹時血糖
110mg/dl以上

🧪脂質異常症

中性脂肪150mg/dl以上
または
HDLコレステロール40mg/dl未満

各項目について

腹囲測定の様子

📏腹囲について

メタボリック症候群では内臓脂肪が一定以上あることが診断には必須になります。CT検査などを行わないと正確には内臓脂肪のつき具合はわかりませんが、腹囲を測ることで、より簡便に内臓脂肪型肥満の程度を把握します。

測定方法は立位で軽く息を吐いた状態で、へその位置で水平に測定します。

血圧測定の様子

💓高血圧について

血圧が高いと、血管に負担がかかり、血管の柔軟性がなくなったり、血管壁がもろくなったり、厚くなるなどといった、いわゆる動脈硬化が生じやすくなります。さらに狭心症・心筋梗塞といった心臓病、脳梗塞・脳出血といった脳卒中、腎臓病の危険性が高くなります。

禁煙や減塩食、運動などの生活習慣の見直しや薬物療法が必要となります。また白衣高血圧といって病院では血圧が高くなる方がいるため、家庭での測定をお勧めしております。

ケーキを食べている様子

🍭高血糖について

内臓脂肪が蓄積すると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効き目が体内で低下することがわかっております(インスリン抵抗性といいます)。インスリン抵抗性が強くなると、糖尿病へと進展しやすくなります。

糖尿病は動脈硬化を引き起こし、神経障害、網膜症、腎症といった合併症を引き起こします。それらが進行しますと、足の壊死や失明、腎不全で透析が必要となるなど重篤な状態となります。食事・運動療法、薬物療法にて早めの対応が必要です。

ステーキを切っている様子

🧪脂質異常症について

脂質異常症とは中性脂肪が高い、HDLコレステロールが低い、また表の基準にはありませんが、LDLコレステロールが高い状態をいいます。中性脂肪は一般的に高カロリーの食事をとることにより上昇し、高値が続くことにより動脈硬化を招くとされております。

HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれ、血管壁のコレステロールを取り除き肝臓へ運ぶ働きをしています。反対にLDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれ、増加すると動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞の危険が高まります。治療の基本は食事、運動療法ですが、それでも改善しない場合には薬物療法が必要となります。

治療とアドバイス

🍽️食事療法

  • カロリー制限
  • 減塩(1日6g未満)
  • 野菜・食物繊維の摂取
  • 規則正しい食事時間

🏃‍♂️運動療法

  • 有酸素運動(週3回以上)
  • ウォーキング・水泳など
  • 筋力トレーニング
  • 日常生活での活動量増加

💊薬物療法

生活習慣の改善だけでは目標値に到達しない場合、各疾患に応じた薬物療法を行います。高血圧、糖尿病、脂質異常症それぞれに対して適切な薬剤を選択し、個々の患者様の状態に合わせた治療を行います。

当院での対応

当院では、メタボリック症候群の診断から治療まで、患者様一人ひとりの状態に応じた包括的な医療を提供しています。

🔍診断・検査

  • 腹囲測定
  • 血圧測定
  • 血液検査(血糖・脂質)
  • 心電図検査

💬生活指導

  • 食事指導
  • 運動指導
  • 生活習慣の見直し
  • 定期的なフォローアップ